ビールなどアルコール飲料の缶に妊婦さんは控えるようにと表示がされるようになりました。
妊婦さんから、「ちょっと呑んじゃったけど良いでしょうか?」とか「今度職場の食事会があるけどどのくらいなら呑んで良いでしょうか?」などの質問が出ています。
従来妊婦の飲酒で問題になるのは多量に呑むアルコール依存症の患者でした。日本の女性は従来あまり呑まなかったので問題がなかったのですが、最近女性の愛飲家が増えているので心配です。
●アルコールの問題点
妊娠中、アルコールは胎盤を容易に通過するので、胎児の血液中アルコール濃度は母体と変わらないといわれます。
母親が酔えば胎児も酔うので、胎児は母親から酒を強要されることになります。
胎児のアルコール代謝の中心も肝臓ですが、その代謝能力は小さく非力であるため、アルコールが神経毒として直接作用することになるのです。
胎児性アルコール症候群
毎日多量のお酒を飲む母親から胎児性アルコール症候群とよばれる異常児の生まれることが知られています。
欧米では700-1000の分娩に1例発生するといわれています。
胎児アルコール症候群というのは、主に精神発達遅延ですが、他に身体発育障害、小頭症、顔の異常(短い眼瞼裂、人中の低形成、鼻翼異常、小下顎症)、骨関節異常、心奇形などの報告があります。
●どのくらい呑むと危ないか
アルコール依存症の妊婦の半数から胎児性アルコール症候群が発生するといわれます。
多量に呑むと影響を受けやすく、目安としては連日、日本酒3合、あるいはビール1本くらいとされています。
どれだけなら良いかという量的安全限界は結論が出ていません。
●妊娠中どの時期が危ないか
妊娠前に断酒すれば影響ないと考えられます。
妊娠4週から12週の間、胎児の器官形成期で影響を受けやすい時期には他の薬剤同様、呑まない方が良いでしょう。
それ以後は少量のアルコール、例えば旦那さんの晩酌に付き合ってビールをグラスに一杯くらいなら良いのではないでしょうか。
●おわりに
ビール缶に表示をすることは大変良いことです。
さらに付け加えますと、妊娠中のタバコの方が有害であることがはっきりしているので、この機会にタバコの箱に「妊娠中・授乳中の方とその周囲の人は絶対に吸ってはいけません」と記入することにしたらいかがでしょうか。