★妊娠中のタバコー1
ビールなどアルコール飲料の缶に妊婦さんは控えるようにと表示がされるようになりましたが、これは大変良いことです。
ところで、妊娠中のタバコの方がアルコールより有害であることがはっきりしています。
この機会にタバコの箱に「妊娠中・授乳中の方とその周囲の人は吸わないように」と記入していただきたいものです。
●タバコの害
タバコの害については誰でも承知のことと思いますが、それでも止められない人は多いですね。
ニコチン依存症になると、それから抜け出ることは大変むつかしく、周囲に勧め、子どもにまで吸わせるようになります。
まるで麻薬のような魔力に取りつかれたあわれな人々。
日本は特に喫煙率が高く、自販機があちこちにあることも問題です。
タバコの害を説く私に向かって煙を吹きかける程度の悪い輩もいます。
非喫煙者に強制的に喫煙させる受動喫煙は、家庭内の暴力や虐待と同じ範疇に入るものです。
喫煙者は非喫煙者に比べて、肺がんや多くのがんで死亡する危険性が高くなります。
脳卒中や虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)、慢性呼吸器疾患などにかかる危険性も高くなることが知られています。
タバコを止められなくて病気になるのは本人の勝手、自業自得ですが、周囲の人にまで害を及ぼす加害者となるのは困ったものです。
平成15年5月施行「健康増進法」には「学校・体育館・病院・劇場・集会場・展示場・百貨店・事務所・官公庁施設・飲食店その他多数の者が利用する施設を管理する者は受動喫煙を防止するよう努めねばならない」と定められました。
きちんとした喫煙室を設置するか、もしくは全館禁煙にしなければならないとされています。
厚生労働省のガイドラインでは、喫煙コーナーは煙草の煙が漏れやすいので、喫煙室を設けることを推奨し、その中には空気清浄装置は役に立たないので、排気装置が必要としています。
●妊婦の喫煙
残念なことに母親の妊娠中の喫煙は増える傾向にあります。
2001年厚生労働省の調査では、1473名の妊婦の内妊娠前に喫煙していた者は317名(21.5%)で、その内123名(8.4%)は妊娠中も喫煙を続けていました。
10年あまりの間に妊婦の喫煙率は2倍近くに増加したといわれます。
次回、妊婦さんと赤ちゃんに対するタバコの害について述べます。
●喫煙する母親は赤ちゃんに対する加害者
前回、タバコを吸う人は周囲の人の健康に害を与えている加害者だと書きました。
そして妊婦さんの中でタバコを吸う人の割合が高くなっていることも述べました。
妊婦さんがタバコを吸うと、自分の体はもとより赤ちゃんの健康を損ねている、お母さんが赤ちゃんに対して加害者になっていることを知ってほしいのです。
夫がそばで喫煙すれば夫も共犯です。
妊婦さんが喫煙すると子宮外妊娠、自然流産、胎盤早期剥離、前置胎盤、前期破水などいろいろの異常が起こる可能性があり、周産期死亡率が高くなります。
低出生体重、未熟児が増加し、発育が悪くなるのです。喫煙本数が多いほど、出生児の身長・体重とも低下する傾向があります。
ときには赤ちゃんがお腹の中で死んでしまうことがあるのです。
タバコの煙には200種類以上の有害物質が含まれています。
特にニコチンは血管収縮作用が強く、胎盤血管や子宮動脈の収縮を来たし、胎盤の血流を障害します。
また、一酸化炭素はヘモグロビンと結合して酸素運搬能を低下させ、胎児への酸素供給が障害されて慢性の酸素不足にさらされます。
これらの作用により子宮内胎児発育遅延が起こり、胎盤に関連する流産・早産・常位胎盤早期剥離などが起こります。
ただし奇形の発生との因果関係は明らかでありません。
授乳期にはニコチンは乳汁中に移行します。お母さんが吸わなくても、そばにいる人のタバコによる受動喫煙も問題です。
原因不明で赤ちゃんが突然亡くなる乳児突然死症候群(SIDS)は喫煙者の母親に多く見られるという報告があります。
これらの異常は妊娠初期に禁煙すれば減少します。出来る限り早く禁煙することが重要です。
妊娠したからといって急に禁煙しようとしてもなかなかできません。
やはり妊娠する可能性のある女性は、日頃から禁煙に努めるべきでしょう。
●家族揃って禁煙を
妊婦さんのそばにいる人の喫煙も危険です。タバコの先からでる副流煙の方が有害といわれます。
妊娠する可能性のある女性の禁煙はもちろんのこと、夫・家族の禁煙・完全分煙が求められます。
妊婦さんの家族は屋内で吸わないこと。
自動車内の喫煙はもってのほかです。
「女房が妊娠してからうちでは吸わないようにしてる」とか「吸いたくなったらベランダに出て吸っている」というご主人も多くなりました。
大変結構な心がけですが、いっそのこと、奥さんの妊娠を契機に「家族揃って禁煙を」されたら良いのではないでしょうか。
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