不妊治療の交差点で



青信号

 診察室に中年の夫婦が入ってくる。緊張した面もち、ならんで椅子に腰かける。 夫が妻の手をそっと握る。

不妊治療をいくつかの病院で受け、何年もたってからうちに来てくれた患者さん。

きょう、おふたりは体外受精の結果を聞きに来たのだ。

「よかったね、妊娠反応がプラスですよ。おめでとう」。それまでの緊張にこわばって青くなっていたふたりの顔がぱっとピンク色に輝き、飛び上がった。

次の瞬間、ふたりは抱き合ってぼろぼろとぼうだの涙。ご主人も眼鏡を外しながら「うっうっ」と声を出して泣いている。

それを見た私たちは思わず涙がこみ上げてくる。涙声で「よかったね、よかったね」とくりかえすばかり。

「おめでとう、これからお産するまで大変だけどがんばってね」。「ええ。今までつらさに耐えてきたので、どんな苦労も乗り越えます」

ふたりは手をつないで、なんども頭を下げながらにこにこと診察室をあとにした。



赤信号

 診察室に中年の婦人が入ってくる。

大手の会社の有能な中堅社員だが、もの静かな知性あふれる方である。

緊張した面もちで腰掛ける。 永年にわたる不妊治療。

何カ所もの病院で治療を受けてきた。体外受精を何回も受けているけど、年齢の因子のために卵巣が薬によく反応しない。

今回が最後の挑戦とがんばったのだ。

「ごめんね。こんどもだめだったよ」 「・・・・・、そうですか。もうあきらめます。・・・・・今まで本当にありがとうございました」。

目から一筋の涙。 「子供がなくても幸せに暮らしている夫婦も沢山いますよ。

お二人仲良く元気に暮らして下さい」。

軽く会釈して、いつものように静かに出ていった。


黄信号

 不妊治療を受ける患者さんはいつも黄信号を前にしている。

早く子供が欲しい。早く、早く・・・。


不妊治療交差点に来ないために
 
結婚年齢が遅くなり、結婚しても子供のいない生活を楽しみたい。

結局タイムリミットになってからやってきます。

35歳を過ぎると妊娠率は低下するし、赤ちゃんの染色体異常も出やすくなります。

体外受精の妊娠率は20才代では40%をはるかに超えるけど、年齢と共に35%、30%と下がり、40才代になると10〜15%になってしまいます。

そうならないためには若い内に結婚して赤ちゃんを産むこと。特に生理不順に悩むようなかたはホルモン調節がよくなく、不妊に悩むことも多いのです。

若い女性の皆さん、「不妊交差点」に来ないようにお気をつけ下さい。