「フミカは24歳。色白で若く美しい。」
茨城県の筑波大学の西田正人先生に胸を打たれるエッセイをいただきました。
その一部を許可を得て転載します。
![]()
フミカは24歳。色白で若く美しい。
その横顔からは、彼女が頚癌とはとても信じられない。
フミカにはてっちゃんという恋人がいた。レスラーのように大きな体と浅黒い肌に似合わない優しい目をした若者だった。
てっちゃんは若い看護婦の人気の的だったが、見舞いに来るとずっとフミカの横について、静かに見守っていた。
手術と放射線の永い治療が終わって退院する日、てっちゃんはぴかぴかに磨いたでっかいトラックを病院玄関に乗り付けた。
助手席にちょこんと乗せられてフミカは嬉しそうに小さく手を振った。
フミカの病気は治らなかった。
3度目の入院の時、白く、透き通るように細くなった左手の薬指に小さく指輪が光った。
入院の7日前にてっちゃんが結婚してくれたのだといって、精いっぱいの笑顔を見せた。
それから3週間でフミカは死んだ。
星の降る寒い夜に、てっちゃんはその大きな目に涙をいっぱい浮かべてフミカを抱いて病院を去った。
フミカを殺したのは癌ではない。
フミカを殺したのは『子宮癌は30歳以上の大人の病気』だとする誤った啓蒙である。
![]()
子宮頚がんはきちんと検査を受ければ早期発見が可能です。
集団検診や施設での検診が進んだおかげでがんの中では死なない病気となってきました。
従来は比較的高齢の女性の病気と考えられてきました。
ところが最近若い年齢層(10〜20歳代)の子宮がんあるいはその前段階が問題となってきています。
子宮頚がんはウイルスの感染によるという説が有力で、今の時代の奔放な性の習慣が拍車をかけているため、どんどん若年化しているのではないかと考えられています。
そして中年になってからの子宮頚がんも若いときから細胞診を受けることによって前段階や早期がんの状態で発見される可能性が高いのです。
米国では18歳から子宮がんの検査を受けるように指導されています。
そして早期発見されるため大きい手術や放射線治療を必要としなくなりつつあるとのことです。
一方わが国では未だに子宮がんの検査は30歳からでよいとされています。
子宮がんの検診は老人保健法のもとで行われてきましたが、最近は生活習慣病の一つとして対策がねられるようになりました。
厚生労働省の指導が子宮頚がんの検診の対象を30歳以上から18歳以上に引き下げられる時代は当分来ないと思われます。
少なくとも一般の方が若い世代にも子宮がんあるいはその前段階のあることを知って、少しでも異常があれば子宮がんの検査を受けるようにしていただきたいものです。
注意すべき症状は、不正出血・おりものです。
特に自由な性生活を謳歌している女性、多数の異性と性交渉のあったかたは定期的に検査を受けて下さい。
細胞診はけっして痛くない検査ですからご安心下さい。