「自然分娩・自宅分娩について」

ただ今放送中のNHK連続テレビ小説「さくら」、高山市を中心としてハワイも舞台となる大変楽しいドラマです。

その中に自宅分娩のシーンが出てきました。

みどりさん(熊谷真美)は助産師トキ(富士真奈美)の助指導を受け、周囲は自宅での出産に不安を感じるがみどりは敢然と挑戦します。

無事女の子を産み主人公の名を取って「さくら」と命名します。

みどりさんは何かものを抱きかかえるようにして立ち膝になり、トキさんは後ろから介助していました。

自宅分娩について

お産は室町時代以降、力綱(泰産綱・にやすなわとも呼ばれる麻縄)を天井から吊り下げてこれにつかまってお産する事が多かったようです。

現在のように仰臥位でお産するようになったのは明治以降といわれています。

お産の体位は次のようなものがあります。

1
立位:南米のインディオは木にぶら下がってお産すると言われています。
2
坐位(蹲踞、しゃがんだ姿勢・椅子に座る姿勢など):比較的自然で多くはこの姿勢で御産したようです。
3
臥位(仰臥位・側臥位)
4
膝手位(四つん這い)

私はバリ島で面白い木彫りを見つけました。

産婦は夫に後ろから支えられて足を投げ出すような体位で分娩している情景です。

一種の坐位分娩ですが、日本でもこの体位は多く行われていたようで、二人で一緒に御産しているような感じになります。

あるテレビの「信じられない出来事」を扱った番組で、米国の女性が自宅で分娩が始まってしまい独りでお産した事件を出していましたが、このケースではキッチンの机に手を突いて立ったまま出産した場面を再現していました。まさに産み落としたことになります。

自然分娩について

分娩管理には医療施設でいろいろ医学的な治療を行う「管理された分娩」とそういった医療を排除してあくまでも自然な分娩を目指す「自然分娩」の2極があります。

お産は95%までは正常分娩です。

病院での管理されたお産に不満や反感を抱く患者さんがいることは事実で、助産師さんたちが自然分娩を目指すのは患者さんの心のケアを考えれば良いことでしょう。

ただ問題は分娩の途中で異常事態が起こったときのことで、いろいろ問題があるのは否めません。

手遅れになりそうになってから運び込まれた病院が尻拭いをさせられ、挙げ句の果てに病院が悪いと家族に文句を言われて憮然とすることもあるのです。

医療事故による医事紛争は残念ながら産科がもっとも多いのです。これはお産がうまくいって当たり前と思われていることも一因でしょう。

こうした「安全」を第一に考えれば若い医師の中には「自宅分娩などもってのほか、NHKや民放で自宅分娩を賞賛するのは問題だ」という意見も出てくるのです。

助産所や自宅分娩の変遷

厚生労働省の統計では平成12年度の出生は1,190,547人でした。

少子化のため年々減少していましたが、前年度に比べ少し増えています。

その出生場所の内訳は病院:53.7%、診療所:45.2%、助産所:1.0%、自宅その他:0.2%となっています。

昔は普通だった自宅分娩、1950年には95%、 1960年50%も占めていましたが、その後減少し、1990年頃から自宅分娩および助産所の扱う分娩を併せても1%強に過ぎなくなりました。

この数字はその後変わっていません。

医療施設(病院・診療所)に於ける分娩が普通になって助産所に於ける分娩はなくなってしまうのではないかと思われましたが、未だに根強い人気があります。

周産期医療システムは「自然分娩」を中心として患者サービスに尽力する医療施設と、高次の医療施設の2群に分化しつつあります。

当地方では名古屋第一赤十字病院など総合(地域)周産期母子センターを中心とする高度な周産期管理のシステムが機能して、より安全な分娩管理が出来るようになりました。

助産所や自宅での分娩は全く正常であれば問題は少ないのですが、異常が発生したときの「安全性」が問題となります。

このシステムに乗っていない助産所も包含されるべきではないかと考えられています。