がんの検診について

「このごろ胃の調子が悪い、やせてきた、おりものに血が混じる」など異常があればすぐ医者にかかる、これは常識です。現在異常が無くても検診を受ける、特に市町村や職場で集団検診を受ける、これも大変良いことだと思われ、多くの方が受けています。そころが本当に集団検診って良いのでしょうか?。



がんの集団検診は本当に有効か?

がんの集団検診は胃がん・子宮がんを中心として、昭和35年頃から全国に普及しました。
昭和58年に老人保健法が施行されるとその保健事業の中にがん検診が組み込まれ、さらに肺がん・乳がん・体がん・大腸がんの検診が行われるようになって、飛躍的に発展しました。
年間数千万人が受診しています。

ところが本当にがん検診が役に立っているのかという疑問が医師の間から持ち上がり、「ほとんど意味がない」というセンセーショナルな文章が雑誌に載るようになりました。
そこでがん検診は意味があるのかないのかをはっきりさせるために研究班が組織されたのです。
平成10年3月に厚生省(当時)の「がん検診の有効
性評価に関する研究班」の報告が発表されました。
班長は東北大学学長久道茂先生で、総論・胃がん・子宮がん・乳がん・肺がん・大腸がんの各部会を持つ大がかりな研究班でした。

結論からいうと、「現在行われている集団検診は胃・子宮頚部・大腸については有効であるが、肺・乳房・子宮体部については有効と言い難く、その検査法を十分検討しなければならない」というということです。
ところが学者先生の書かれる報告書は回りくどい言い方をするので分かりにくく、最初の方だけ読むと「だめだ、やっても意味がない」ととれてしまう。
これをマスコミが報道するとさらに「がんの集団検診は意味がない」と強調しているように受け取られます。

特にこのような研究の手法はアメリカ的な統計学を用いたもので、その解釈は気を付けなければいけません。
私たちが心配するのは医者にかかるのが嫌いで、かろうじて集団検診でチェックを受けていた人たちが、その受診の機会さえ失って手遅れになることです。
たしかに今までの集検の一部に不十分と考えられる部分があり、その見直しが必要と考えられますが、その有効性をすべて否定するものではありません。
以下に研究班のまとめを踏まえた評価・問題点を各がん別に列挙してみましょう。

 

胃がん検診
推奨する根拠有り。集団検診の有効性が十分に認められる。
子宮頚がん検診
有効性については十分な証拠がある。
検診の対象年齢(若年に幅を広げる)、適切な受診間隔など検討を要する。
子宮体がん検診
集団検診の対象としては有効性を示す資料に乏しい。
リスクの高い受診者(50歳以上の不正出血のある人)を選んで実施すべきである。
乳がん検診 視触診による検診については有効性の根拠は十分といえない。
マンモグラフィによる検診は有効と考えられる。
肺がん検診
死亡率低減効果は認められるが小さい。
大腸がん検診
死亡率低減効果を推奨する根拠がかなりある。

以上のように一口に集団検診といってもその有効性には対象となるがんの部位によって様々であり、限界のあることはいうまでもありません。
あくまでも自分の体は自分で注意することが肝要であり、集団検診を上手に利用することが大切です。