妊婦の家庭内暴力について

女性・子どもに対する家庭内暴力(domestic violense: DV)については、米国においては1980年代から、日本においても1997年頃から急速に注目を浴びるようになってきました。

このアパートニュースの読者は若い世代の方が多いと思います。

家庭内暴力、とりわけ妊婦さんに対するDVについて述べてみます。

最近、日本産婦人科医会の「妊産婦への家庭内暴力の実態」と題する調査報告(医療対策部片瀬委員)が出されました。

その内容は膨大ですが、興味深い点を引用してみましょう。

夫婦間の家庭内暴力としては次のような分類がされています。

身体的暴力(身の危険を感じるくらいの暴行、治療が必要になる程度の暴行)、性的暴力(いやがっているのに性的な行為を強要する、診たくないのにポルノビデオや雑誌を見せる、避妊に協
力しない)、精神的暴力(何を言っても無視する、交友関係や電話・郵便物を監視する、誰のおかげで生活できるんだとか甲斐性なしと言われる)、その他(大声で怒鳴られる)。

調査結果を羅列します。

●子どものない群よりある群の方が多かった。

●年齢別に見ると10代女性の群は他の年齢群に比べて激しい暴行を受けている割合が高い。

また夫が避妊に協力しない割合が多い(性的暴力とみなされる)。

●妊娠していない女性に比べると、妊娠中の女性に対するDVの頻度は低い。

●妊婦に対して暴力を振るう夫は反社会的人格障害と思われるような攻撃的な行動を医療スタッフに対してさえ示すことがある。

●米国での調査ではDVの起こる夫婦ではその3分の1はその男性に迫られて半ば強制的な結婚をしていたという。

●斉藤学氏は次のように述べている。このような結婚には嫉妬がつきまとう。

妻に暴力を振るう男性には、いつか自分が捨てられるという基本的な劣等感があり、それが引き金になる。

暴行はエスカレートし、飲酒が加速する。しかし、妻は自分が夫から必死で求められていることを感じるので、助けを外に求めない。

●また米国での報告によると、DVの夫婦から生まれた子供に対しては、3分の1は夫が子どもも虐待する、3分の1は妻も子どもを虐待する、残り3分の1の子どもにも幼少時期に虐待を目撃することから心理的後遺症が残る。

このようなカップルに対しては医療スタッフのみならず周囲の強い援助が必要となります。