産婦人科Q&A

若い女性の乳がん 乳がんのレントゲン検査 男女の産み分けについて
子宮外妊娠の治療法 卵巣嚢腫について 妊娠と葉酸
女性の不正な出血 子宮の粘膜下筋腫

若い女性の乳がん
【質問】  22歳、OL

祖母も母親も乳がんで乳房の切除手術をしています。

自分も遺伝でそうなるのではないかと心配です。

今のうちから婦人科に行って定期検診を受けたほうがいいのでしょうか?。

乳がんと言えば子供を産んだことのある人、もしくは更年期の人の病気と思っていましたが、若い人にもあるのでしょうか?

【回答】

お祖母様とお母様が乳がんにかかっておられると心配ですね。

たしかに@乳がん患者の家系には通常の3倍ぐらい高率に乳がんが発生する、A近縁の度が強いほど発生率が高いといわれています。

従って遺伝が大きく関係しているのは明らかですが、環境などの要因が家族内で類似していることも関係するかも知れません。

あなたの場合は確かにリスクが高いと言わざるをえませんね。

年齢との関係で見ると、30歳未満の若い女性の乳がんは罹患者数の4.2%、死亡者数の1.0%と低く、また家族に乳がんのある人が特に早く若いうちに発病するわけではないといわれます。

従って今のあなたの年齢から見て、それほど神経質にならなくても良いかも知れませんが、定期的に診察を受けることをお勧めします。

自己検診も大切ですね。お風呂で石鹸をつけた状態で反対側の手でそっとなでるようにしてみてください。こつんと触る固いものがあったら検査を受けましょう。

日本人の乳がんの罹患者数は明らかに増加し、死亡者数も増加しています。

乳がんに関係する因子として早い初潮、遅い閉経、不妊、初産年齢が30歳以上などがあげられています。

独身女性は既婚女性に比べるとリスクが高く、修道女に乳がんが高率であるともいわれています。

肥満、特に脂肪摂取の多いことも関係あるようです。

外国の報告ですが、白人・黒人は東洋人に対して5倍、35歳以上は35歳未満に対して20倍、一親等の親族に乳がんがあると3倍、母親と39歳以上の姉妹にあると6倍、母親と39歳以下の姉妹にあると39倍、初産年齢が31歳以上は21歳未満の3倍、未経産は多産に比べて3倍等となっています。


喫煙との関係は今ひとつはっきりしませんが、毎日喫煙すると乳がんのリスクを高めるといわれ、特に平山雄氏は毎日の肉食と喫煙が重なると更に高くなると警告しています。

初潮年齢は早くなり、結婚年齢は遅くなり、子供の数は少なくなっています。脂肪摂取の増加、肥満傾向なども重なって、日本女性の乳がんはますます増加すると予想されます。

こと乳がんに関する限り、高脂肪食を避ける、早く結婚して、早く子供を生む、たばこを吸わないことがよいようですね。

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乳がんのレントゲン検査
【質問】(53歳、主婦)

乳がんの検診を受けたら医師が手で検査してから「触診では異常はないが、念のためレントゲン検査を受けたほうが良い」と勧められました。
異常がなくてもレントゲン検査は必要なのでしょうか?

【回答】

従来乳がん検診は視診・触診を中心として行われ、一部地域でマンモグラフィというレントゲン検査も併用されてきました。

視触診で異常が発見されれば精密検査としてマンモグラフィを撮影することは当然としても、異常がないときに念のため撮影することが本当に必要なのかと疑問視する医師も多かったのです。

ところが厚生省(現厚生労働省)の研究班で乳がんの早期発見にはマンモグラフィを併用すべきだとの結論が出され、さらに平成12年3月に厚生省通達として50歳以上の女性は2年に1回マンモグラフィの検査をするようにとの指針が出されました。

本当は50歳ではなく、40歳から対象とすべきであるともいわれています。


手で触って判るような乳がんでも直径2cm以下であれば予後は良いのですが、やはり小さいものは見落としがありうるので、レントゲン検査を併用することが早期発見につながります。


マンモグラフィを撮るためには施設、器機、撮影技師、読影医師が不足しており、現在各地区で準備が進んでいます。

愛知県産婦人科医会マンモグラフィ併用乳がん検診システム病院で視触診する医師とマンモグラフィが整備されているところは数少ないので、愛知県産婦人科医会では指定施設でマンモグラフィを撮影・診断するとともに病院・診療所の産婦人科医が視触診を行って総合判定をするシステムを作り発足しました。


視触診は外科、放射線科、内科など各科の医師も行いますが、産婦人科がもっとも受診しやすいという女性が多いようです。
あなたも2年に一回マンモグラフィを受けることをお勧めします。

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男女の産み分けについて

【質問】

男女の産み分けは出来るのですか?。

【答え】

昔から男女の産み分けを希望する人は沢山います。以前は男児の希望が多かったのですが、最近は女児を希望する方が多くなりました。

中国では一時人口抑制のために「ひとりっこ政策」が行われ、ある村では男の子ばかりになったなどという報道がありました。

男の子が欲しいなら燐酸カルシウムを飲むと良いと言われて、私の知人にも服用した人がいますが、結果は女の子が続いて3姉妹となってしまいました。

実にいろいろな方法がまことしやかに宣伝されています。

どの方法でも約50%は当たるのです。

当たった人は「当たった」と喜んでいますが当たらなかった人は黙っているので教えた方は高率に当たると自己評価してしまうようです。

食事、タイミング、禁欲期間、性交時の体位などいろいろ言われていますが、俗説が多く信頼性は高くありませんし、一見科学的な方法も確実なものはほとんどありません。以下にいくつかの方法について解説します。

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産み分けゼリーを使う方法
東京の杉山先生の提唱する方法で、80%あたると言われています。現在日本の産婦人科医の中にはこの方法を勧める方が多いようです。詳しい説明は省きますが、タイミングと膣内Phを組み合わせた方法で、かなり熱心に行う必要があります。

精子を分離する方法
パーコールを用いた精子分離法は当初かなり確率が高いと提唱されましたが、その後の報告では成功率が低く使われなくなりました。なおこの方法は日本産婦人科学会から「安全性が確立されていない」から実施しないよう勧告が出されています。
また、精子をレーザー光を利用して分離する方法があり牛などで実際に行われていますが、ヒトではDNA量の差が少ないため精度がかなり落ちるようです。

インターネット
バイオリズムで決める方法や、カレンダーを使うものなどいくつか見られます。S法というフランスの産婦人科医などが提唱する方法はインターネットで大々的に宣伝されていますが、一見科学的な説明があるものの、専門家は理論上間違いがあって信頼 できないと述べています。いずれも産婦人科医の間では評価されておらず、高額な金銭を集める詐欺まがいではと心配されています。

着床前診断
現在もっとも信頼性の高い方法は、高度生殖医療を応用した着床前診断による胎児の選別で、海外ではすでにいくつかの報告が出されています。体外受精で得た8細胞期の卵細胞から1個フ細胞を取り出して染色体分析を行います。この方法は体外受精のリスクはありますが、ほぼ100%の産み分けと言っても良いでしょう。倫理的な問題があると批判されており、日本では認められていません。

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遺伝的に男女の性に依存する病気に対して行われる産み分けと、単に男の子や女の子を希望する社会的適応とがあります。

産み分けは性差別を助長することになり、産婦人科医が手を貸すことに対する反発も多いのです。

こういったこともあって、現在あまり熱心に行われていません。

やはり神様のお決めになることではないでしょうか。

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子宮外妊娠の治療法
【質問】

子宮外妊娠で卵管を保存する手術法を受けました。いろいろな治療法があるとのことですが、どういうことでしょうか(28歳、会社員)

【答え】

子宮外妊娠というのは通常の妊娠が子宮の中にできるのに対して、卵管・卵巣・腹膜などに妊娠するものをいいます。子宮の中でも頚部と呼ばれる出口の部分に妊娠する頚管妊娠も含まれます。しばしば大出血を起こし、昔は死亡率の高い恐ろしい疾患でした。
最近は超音波による診断が発達し、手遅れになることは珍しいのですが、きちんと受診しない患者さんの場合には非常に危険です。
卵管妊娠の場合、出血が多ければ卵管を切除しますが、時には大量の輸血を必要とします。
出血量が多くなければ腹腔鏡下に手術することが可能で、傷口も小さく数日で退院できます。
妊娠の初期から診察を受けていれば出血の少ない状態で診断されるので、まだ子どものない患者さんには卵管を切除せずに治療することもあります。
その場合には卵管の妊娠した部分を切開し、内容を取り出して出血を止める方法がとられます。
妊娠していてもあまり活性が高くない(ホルモン値が低い)方にはMTXという薬剤(抗癌剤の一種)を注射して、手術をせずに治す方法もとられます。
卵管の妊娠は以前のクラミジアなどの炎症が原因となることが多く、再発することも珍しくありません。
体外受精を行っても子宮内に戻した卵がわざわざ卵管に移動して卵管妊娠となることもあります。
以上のように卵管妊娠の治療法もいろいろあるのです。

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卵巣嚢腫について
【質問】

生理の時下腹部が痛いので検査を受けた結果、卵巣に水がたまっていることが分かりました。特に問題ないので様子を見ています。(38歳、教員)

【答え】

卵巣に水がたまったとのことですが、おそらく超音波で円形に黒い影が写ったのでしょう。
こういった場合、内容は漿液や粘液、古い血液やどろどろの脂状のものなどいろいろあります。
卵巣には毎月数個の卵細胞が卵胞を形成し、排卵に向かって大きくなります。直径2cmくらいになると排卵しますが、3cm位の卵胞を見ることがあります。他にも黄体嚢胞など腫瘍の仲間にも入らないものがあります。
こういった嚢胞はねじれて強烈な痛みを起こさない限りは手術をする必要はありません。
時期が来れば消失します。壁が凸凹なくきれいな円形であるならば嚢胞は悪性ではないので、まず心配はいりません。
牧田さんの場合は生理痛があったとのことで、内膜症に伴うチョコレ−ト嚢胞も考えられます。
子宮内膜症が卵巣に出来ると徐々に古い血液が溜り、あたかもチョコレートのような状態になります。
毎月生理の時期に腫れるためひどい痛みを起こすことになり、若い女性の月経困難症の原因として重要です。
 変わった腫瘍といえば卵巣皮様嚢腫があります。
腫瘍の中身はどろどろの脂で、しばしば髪の毛・歯・粘膜・軟骨などを含みます。
 こういった良性腫瘍でも時に悪性になることがあるので、定期的に検査を受けて、必要ならMRI検査も受けられると良いでしょう。


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妊娠と葉酸
【質問】

最近知人から妊娠したら葉酸をとるようにと勧められました。
本当に必要なのでしょうか?(一宮市 主婦 33歳)

【答え】

ビタミンの役割の大切なことはよくご存じのことでしょうが、最近妊娠中に必要なものとしてビタミンB群の一種である葉酸が注目されています。
葉酸は妊娠初期に胎児の二分脊椎(髄膜瘤)、脊髄披裂、水頭症など先天性神経管閉鎖障害発生のリスクをおさえることが知られています。
また悪性貧血や、妊娠の異常(胎盤早期剥離、流産・早産、子宮内胎児発育遅延、妊娠中毒症など)の予防にも役立つといわれています。
もともとこの異常が多いイギリスで研究が進みました。
アメリカでは1992年に疾病管理センターから「妊娠する可能性のある女性は妊娠する一ヶ月前から妊娠12週までの間に葉酸を一日0.4mg摂取すると神経管閉鎖障害児出生リスクを約70%軽減できる」と勧告が出されました。

わが国ではそれまで欧米に比べ発生率が低かったこと、日本食に葉酸を含む食材が多かったことからあまり問題にされていませんでした。
ところが欧米では葉酸摂取により異常の発生率が下降したのに、日本では逆に上昇したために、厚生省では2000年に米国にならって「栄養補助食品として一日0.4mg以上1.0mg以下の葉酸を摂取するように」と勧告を出しました。
妊婦さんの母子健康手帳にも葉酸摂取を勧める内容が記述されています。
日本人の食生活が変わり、葉酸の摂取量が減っていることも問題となっています。
葉酸はもともとほうれん草から分離されたものですが、その他からし菜、なば菜、アスパラガス、ブロッコリーなどに多く含まれています。
食事だけで補うことは難しく、サプリメントの併用が奨められます。
妊娠してからでは遅く、妊娠する前から摂取することが必要と考えられます。


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女性の不正な出血
【質問】

最近生理とは無関係な出血があります。
なかなか病院にはかかりにくいのですが。(28歳、OL)

【答え】


生理とは異なる出血がある場合、妊娠の可能性があるなら切迫流産や子宮外妊娠が考えられます。
妊娠が否定できるなら、次のように考えます。

【生理が正常にある場合】

◎生理終了後1週間から3週間ぐらいの間に少量の出血が数日続いたり断続性にある:ホルモンのバランスがくずれている(機能性子宮出血)。

◎時々色が付く程度で、性交の後に起こることもある:子宮膣部びらん(子宮の入り口に粘膜のただれがある)、子宮内膜や膣部のポリープ、粘膜下子宮筋腫、稀に子宮頚がん。

◎日頃から黄色いおりものがあり、臭いもある、オレンジ色やピンク色の出血が混じる:細菌などの感染による膣炎や子宮の炎症(クラミジア、淋菌、その他)。ヘルペスやコンジローマなどウイルスによる疾患もチェックが必要。

【生理が不順、あるいは無月経】

◎時々出血する、少量、こげ茶色かピンク色:ホルモンのバランスがくずれている。無排卵によるものが多い。

【どうしますか】

おりものが多い場合や性交後の出血があるならすぐ受診して下さい。
ホルモン失調によるものなら、数日間、基礎体温を測定してから受診すると的確な診断を受けることができます。
妊娠の可能性があればすぐ受診して下さい。
以上、あなたの年齢で考えられることを述べてきました。中年期以降の場合には子宮頚がん、体がん、閉経期のホルモン失調、萎縮性膣炎などいろいろな病気を考慮します。


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子宮の粘膜下筋腫
【質問】

生理の量が多いので、診察を受けたところ子宮の中に筋腫が飛び出している粘膜下筋腫といわれました。
お腹を切らずに治せると聞きましたが。(38歳、主婦)

【答え】


子宮筋腫は大きければ開腹手術で切除が必要ですが、小さいものは経過観察ですみます。それでも月経量の多い場合や不妊症と関係する場合には筋腫だけ切除する筋腫核出術が行われます。
最近は子宮内の部位や大きさにより腹腔鏡や子宮鏡で筋腫核出術が行われます。
 子宮の内側に発育している粘膜下筋腫は、膣から子宮の中に子宮鏡TCRという器械を挿入して削りながら切除する方法を用います。
わざわざお腹を切らなくてもすむので、入院日数も少なく(0-3日)、術後の痛みも軽く済みます。
子宮内腔に飛び出ているか、半分潜った状態の粘膜下筋腫に限られますが、直径6cm位のものまで手術可能です。大きいもの、壁内に潜っている部分の多い物の場合には2-3回に分けて行うこともあります。月経量が劇的に減少し、生理痛が軽くなることも少なくありません。
 子宮鏡はあまり知られていませんが、胃のファイバースコープとよく似た器械で、子宮の中を見るのです。
あたかも高松塚の古墳の中を見るように狭い通路(子宮頚管)を通り抜けて玄室に相当する子宮腔を観察するのです。
設備投資の割に保険点数が低いこと、適応となる疾患が多くないことなどのため普及が遅れていましたが、最近採用する病院が増えてきました。
大量の水を使うこと、穿孔の危険性があることなど注意点も多く、術者が習熟していることが重要です。


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